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比較レビューその2:「タイムループもの」

『Never7 -the end of infinity』vs『Prismaticallization』vs『パンドラの夢』


ネタバレが含まれますが、ごめんなさい。
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 タイムスリップ/タイムループを扱った三つのアドベンチャーゲームを比較しながらレビューしてみよう。

 「Prismaticallization」 (以下「プリティカ」と略)は1日、「infinity」/「Never7」(略さずそのまま行きます(笑))と「パンドラの夢」(以下「パンドラ」と略)は一週間ぐらいと、シナリオ上の日数は異なるものの、いずれも『タイムループ』、すなわち『繰り返される時間』というSF的要素をベースとしてシステム、シナリオを展開している。ゲームはもとより、SFを起点としたさまざまなメディアで扱われているモチーフであり、目新しいものではない。使い古されたネタだけに、その取り扱いに関してひとつ間違えばクソゲー直行だ。(ちなみに個人的には、佐々木淳子の「霧ではじまる日」や梶尾慎治の一連の時間モノが好きだが・・・ここでは触れないでおこう(笑)あ、あと忘れちゃいけないのは「ビューティフルドゥリーマー」だな。)

 ご存知無い人の為、あらかじめ少し説明しておくと、「Never7」(DC)は「infinity」(PS)のバージョンアップ版で、基本的な内容は同じだが、一部シナリオが追加され、「infinity」で説明不足(=消化不足)だった部分が明らかになっている。「infinity CURE」はその追加部分だけをネオジオポケットで「Never7」に先立って発売したものだ。従って、「Never7」を中心に話を進める。必要な部分では「infinity」を単独で扱う。「CURE」については特に触れない。

 なお、「infinity」の初回プレス版は不具合があり、状況によってあるキャラクターのシナリオに入れなくなる。実は、みごとにこれにハマってしまって、1週間くらい悩み続けた。よっぽど投げ捨ててしまおうかとも思ったが、それでも捨てられなかった。メーカーの対応もわりとよかったのでなんとかクリアすることができたが・・・・。メーカーサイトの告知を見てなかったら本当に捨てていたかもしれない。結果的に捨てなくてよかったが、(プログラム的にもシナリオ的にも)不完全な状態で商品化してしまうのもどうかとは思う・・・・。

 余談はさておき、これらの作品は、SFの視点から見た場合、稚拙な部分もあるだろう。特に「infinityNever7」「パンドラ」には他のSF要素も登場するため、かなりやばい。実際、SF的な解説よりも、ファンタジックな様相で語られている面が強い。これはおそらくSF知識の少ない人にもなるべく分かりやすく、という製作サイドの配慮からだろう。わたしも、SF『マニア』では無いのでそんなに違和感が強い訳ではなかったが、やや消化不足な面もあった・・・・。このあたりのバランスは非常に難しいのだろう。コアなSFマニアが納得するような作品を作ったとしても『商売』にはならないだろうし。そんな中で「Never7」などは、かなり踏み込もうとしていて、制作者のジレンマが見えるような気がする。(その一つの『答え』は「Ever17」で出されている。こちらについてはまた別の機会にでも語りたいと思う。)

 まあ、どんなモチーフでも結局は「舞台装置」の一つであって、その上で演じられる・語られる内容がメインになるのだから、モチーフの部分だけを抜き出して語ると言うのも間違っている気はするが。

 で、その内容だが、ネタがネタだけに、ほとんどがネタバレになってしまうので、早々とネタバレ枠に突入しよう(笑)

(ここからネタバレ部分。スキップするネタバレも読む

※このネタバレスキップ機能は・・・・スタイルシートオフだと機能しません(爆)
※さらに、Windows版の各ブラウザで表示確認できてませんので、正しく作動(ネタバレ部分を表示させない)できてるかどうかわかりません(^^;)
※いずれにしても、自分でスクロールすると、ネタバレ部分も出てきます(笑)
※ネタバレと言っても大したことは無いと思いますが、念のため・・・・


〜〜〜ネタバレ部分〜〜〜〜〜〜


※ネタバレ部分

 『タイムループ』が最も色濃く出ているのは「プリティカ」だ。システム的にもシナリオ的にも完全にループにはまり込んだ状態で、しかも『プレーヤーだけ』がそのループから抜け出す事を目指す。他の作品では、主人公を中心とする登場人物が『タイムループ』に気付き、そこから抜け出す、あるいは抜け出そうとすることこそがシナリオの核になっている。しかし「プリティカ」の場合、それが希薄なのだ。つまり登場人物はループのことなどは無関係に『同じ一日』を繰り返していて、ループに気が付いているのはプレーヤとサブキャラの一部のみ。
 主人公が『最初の一日』の冒頭に拾う『不思議なプリズム』を通じて、出来事を『記録』し、次のループで『解放』する事で、起きる出来事を微妙に変化させる。その微妙な変化の積み重ねで脱出=エンディングへと導く訳だが、その行為に主人公の意志は介在せず、プレーヤーに依存する。プレーヤーに依存する、という意味では、他のゲームも全てその通りだが、「プリティカ」の場合は完全に主人公の意志や行為に全く無関係にプレーヤーがその選択を行う。他の作品では主人公(または登場人物)の行為または思想(意志)を選択するものが一般的なのに比べるとかなり特殊だろう。
 システムもシナリオも、一風変わった味付けだ。いかにもゲーム的で味気無いとも取れるが、ゲームだからこその味とも言える。しかし、さらにかなり特殊な主人公の性格なども含めて、その世界に『入り込めない』と感じられるかもしれない。このへん好みが大きく別れるところだろう。真皆的にはこのあたりの『他とは一線を画してるぜ』な部分や、内(精神)向きな語りはかなり好きな部類に入る。

 「Never7」では、シナリオ前半で少しづつ『ループ』にかかわるネタが登場し、二度目のループに入ったところで、そこから抜け出すために四苦八苦するのが基本シナリオだ。ループをコアとして、比較的オーソドックスなまとめ方だろう。システム的にはKIDお得意のビジュアルノベルなので、そういう意味でも無難な仕上がりだろう。

 そして「パンドラ」だが、こちらは序盤で微妙に異なるいくつかのループを見せ、その中で『ループ』への疑念を膨らませる。『予知・予知夢・既視感』といった見せ方も定番で「infinityNever7」ともオーバーラップする。しかし、実は『タイムループもの』としてここで同列に並べるのはちょっと無理があるかもしれない。タイトルにもなっているようにSFと言うよりは『夢』か『幻想』の感が強い。他にも『アンドロイド』ネタがあり、どちらかというとこっちが主題と思われるので、比較するにはちと難しいかもしれない。

 だが、「パンドラ」と「Never7」では類似点も見られる。どちらもわたしが勝手に呼んでいる分類で『システム統合型』となっており、攻略対象の一人が、「最後のシナリオ」として位置付けされる。そのシナリオが作品全体のクライマックスとして、また謎解きパートとして機能している。「infinity」ではこの部分が未完成だっため、ギャグ落ちのまま終わってしまい、物足りなさがある。(さらに、そのモードに入れないバグもあったし)だからこそ「CURE」「Never7」が製作されたわけだろう。
 このようなシステム統合型の作品では、最後のキャラクター以外のキャラクター(のシナリオ)が霞んでしまう危険性が高い。1本の作品として見た場合にラストのクライマックスとそのエンディングが強く印象に残るためだ。それに、個々のキャラクターのシナリオを単独で見た場合にどうしても『謎』のままに残される部分が残ってしまうため、消化不良になる面もある。その謎が枝葉の部分であればその影響も少ないであろうが、核となるようなものであればなおさらだ。
 シナリオ上では個々のキャラクターのシナリオはそれぞれループから脱出する訳だが、プレーヤの視点ではそれもループの一部と錯覚して、グランドフィナーレを見て初めて完全にループから抜け出したことになららいだろうか?
 二者を比べると、「パンドラ」の方がその印象が強い。いずれもタイムループ以外のモチーフが描かれているが、「infinityNever7」では最終キャラクターではなく、途中でそのネタ明かしをしている。(若干キャラの相互関係により、複数のシナリオをクリアしないと謎が解けない部分もあるが)そのため、他のキャラクターについてもある程度印象を残すことに成功していると言えるだろう。
 「パンドラ」ではそれが最終キャラクターそのものであり、この作品の最大の見せ場でもあるので仕方ないだろう。実際、最初にプレイしてからしばらくしてこのレビューを書きはじめたのだが、最終シナリオ以外のキャラの印象はほとんど残っていなかった。しかし、あらためて意識してプレイしなおしてみたところ、そこへ導くシナリオと言うか演出もなかなか素晴らしいものがあった。これをファーストプレイでもっと強く残してもらえていたら、もっと高い評価が出来ていただろう。
 なお、「プリティカ」の場合はもともと個々のシナリオが完全に分離している『平行一筋型』のため、この感覚はかなり薄らいでいる。キャラクターも平均的に印象に残っていると言えるだろう。また「プリティカ」は他の二作のみならず、その他の一般的な作品とも一線を画しており、かなり意欲的な作品と言えるだろう。このあたりはネタバレではないので欄外で述べよう。

 その前にバレネタをもう少し。

 『タイムループ』と言うと、その原因を追求したくなるところだが、これらの作品で比較的それが描かれていると言えるのは「パンドラ」だけだ。詳しくはプレイして自分で確かめて欲しいところだが、端的に言うと「ビューティフルドゥリーマー」(劇場版うる星やつら2)だ。『夢を操る能力』によって作られたループする世界。もちろん単純にそれだけでなく、『アンドロイド』や『二重人格』など、SF、パラサイト、それにオカルト(『夢織りの血』)なども織り込み、不思議な世界を構築する。ぱっと見にそれらが破綻することなくつなげられており、シナリオ全体に力強さを感じる。

 「Never7」では、ファイナルシナリオだけで見ると『量子論』の『平行宇宙論』と『キュレイシンドローム』(※)をキーワードとしてタイムループにからめて、かなりSFちっくなノリをかもしだしている。ここらあたりが好みの問題で作品の評価が大きく変わるところだろうが、最終的に『で、一体なんだったのさ?』と言う疑問が残るのは否めない。そのあたり、かなり強引に、ドラマ優先で押し込んで、えいやっ!、とまとめているが、これはこれでノリと言うもので、後味はそんなに悪くはないと言える。いや、それどころか、感動さえした。
 もちろん、個々のキャラクターのシナリオもややばらつきはあるものの、それなりにきちんとまとめられており、単独でもそこそこ楽しめる。
 ちなみに、わたし自身は量子論で言うところの『平行宇宙論』を信じていないが、物語のネタとしては楽しいので好きだ。と言うよりこのあたりのネタをわざわざ持ち出してきた勇気を称えてあげたい。

 (※:『キュレイシンドローム』は、「Never7」内のオリジナル設定のようだが・・・・なんか実際にありそうな感じで面白いネタ。ほんとのところはわかりませんが・・・・知ってる人いたら教えてぇ(爆)ちなみに、量子論ネタとしては超有名な『シュレーディンガーの猫』が登場する。)

 「プリティカ」では、その原因はおろか、状況すら説明されておらず、不満が残った人も多いだろう。イベントも浅めで短く、表面をなぞっている程度と感じる。一方で主人公の『哲学的』な自問自答がやけに深く、この手の作品としては食いつきはよくないだろうと思われる。攻略対象キャラとの関係においても、主人公とシンクロするのが一人だけというところでも浮いた感じが強い。ちなみにそのキャラだけがタイムループについて何かを知っていそうなのだが、詳しくは語られていない。すごくもったいないと思うのだが・・・・

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〜〜〜ネタバレ終わり


 さて、ネタバレを飛ばすと話のネタが激減するので、色々比較しておこう。

システム面でみると「プリティカ」の独特なシステムが印象的だ。スキップ(既読文章の読み飛ばし)を大前提としているためのものだが、これが一般的な評価を落としている原因になってしまっている。まず、近年では少し珍しいとも言える「ノンボイス」作品であること。個人的にはこれはこれで良いと思っているが『商品』としてややアピール不足かもしれない。それと、これは各方面でけちょんけちょんに叩かれている事だが、あまりの高速スキップのため、『画面が乱れる』のだ。画面をブロック分割して、順次読み込みしながらスキップするため、『背景やキャラクタ(の画像)が切れた状態』で画面に残ってしまうのだ。
 画像を読み込むタイムラグ(によるプレーヤーのストレス)を軽減しようと言う意図なのだが、あまりにもずさんなため、評価を落としてしまっていてすごく残念だ。個人的にはあまり気にならないのだが・・・・・。

 それと、これも珍しいのだが、いわゆる1枚絵の『イベントグラフィック』が存在しないこともあげられるだろう。イベントにおいても、立ちポーズと同じレベルで背景と人物を分離しているのだ。

 「パンドラ」も少し珍しい『縦書き』テキストで、コミック(漫画)の『吹き出し』を使って表現している。ビジュアル的にインパクトがあり、セリフまわしも含めてすごく軽快で楽しませてくれる。(ただ、ふきだしの背景が白なので、画面が焼き付きやすいのが難点。オプションで画面の明るさを暗くできるのはそのためだろう)スキップも軽快そのもので、数回プレイすれば、スキップモードでもだいたい話の流れを追いかけられるのもよい。
 一方「infinityNever7」はシステム的にはオーソドックスで、とりたてて目を引く部分はないが、KID定番の親切な設計になっており、好感度は高い。

 ムービー系のビジュアルに関しては、それぞれオープニングが付いている。本編内部ではいずれもムービーは使われていない点も同様だ。好みで言うと、「プリティカ」のシンプルな映像が一番だな。「Never7」は妙な3Dがしっくりしていないし、「パンドラ」はぱっと見、内容とマッチしていない気がする。
 そのオープニングのサウンドに関しても、「プリティカ」が最も好みだったりする。「パンドラ」も悪くないんだが・・・・ちなみに「Never7」は歌無しだ。
 エンディングは、「パンドラ」が攻略対象毎に歌付きの贅沢仕様(該当声優ではない)。「プリティカ」は短い曲が一曲。すごくあっさりしすぎているが、これはこれでありだと思うな。「Never7」は・・・・・ネタバレになるので省略するが、歌詞が本編に合ってないのがちょっと惜しい。

 その他のBGMに関しては、「infinityNever7」が(プレイ時間に比例してしまうが)全体的に印象に残っている。他の作品を含めてもかなり上位にランクする作品だ。
プリティカ」については、クライマックスに使われている曲(No10か11だったと記憶)が特にお気に入り。ミュージックモードで聞きまくってたのもあって、この曲だけ欄外ランクインだな(笑)
 「パンドラ」については、改めてプレイしてみたが、特にこれと言って印象に残るものはなかった。しかし、シナリオの盛り上げ方とかなかなかのものだと思う・・・・とかわたしが言うのもおこがましいが(苦笑)

 個人的なキャラクターの好みでは「infinityNever7」の『遥』と「プリティカ」の『みゆ』だな。どっちも暗い系だな(爆)「パンドラ」ではやはり眼鏡っ娘という事で『永源寺先輩』かな?

 なお、「Never7〜the end of infinity」には続編として「Ever17」(PS2/DC)が製作・発売されている。得てして続編というのは1作目より劣りがちになる傾向があるが、これは別格。とくに「Never7」をプレイして「Ever17」がまだの人はぜひプレイしてみて欲しい。(そうなると逆に、PS・PS2版の「Never7」が出てないのが惜しい気がする・・・と書いてて、ひょい、と見たら、発売予定に上がってる。やるなっ>KID)

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【参考】

●PlayStation版『Prismaticallization』(ARC System works)1999/10/28 発売
○ドリームキャスト版『Prismaticallization』 2000/08/24 発売(未購入。内容全く同じだそうです)
※これ書くのにメーカーのサイトに行ってみたら・・・・自虐的な作品紹介がなんとも(苦笑)

●ドリームキャスト版『Never 7 -the end of infinity』(KID)2000/12/21 発売
☆PlayStation2版 2003/春 発売予定!

○PlayStation版『infinity』(KID)2000/03/03 発売
※URLはNever7と同じ

○ネオジオポケット版『infinity CURE』(KID)2000/11/23 発売

●ドリームキャスト版『パンドラの夢』(NECインターチャネルPAJAMAS SOFT)2002/09/12 発売
○PC版 2001/11/22 発売
※これもNECのサイトで見て初めて知ったけど、移植の際にかなり変更を加えてるみたいですな。
 この変更は『吉』と見ましたが、いかがでしょう?>両方やった人(笑)


【余談】

と、この比較レビューを書いてたら、ふとオリジナルストーリーを思いついてしまった(笑)ちょいとまとめてみようかなぁとは思いつつネタ帳(つってもザウルスだが)でメモり。どうなるかわからんが。

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